第一章
コリーヌが事業家になり、俺は主婦を失うのこと/コリーヌ、俺の夫になるといい出すのこと
第二章
俺が退職金の計算をするのこと/俺が遂に辞表を書くのこと/誰も俺を引き留めず、俺は酔い潰れるのこと
第三章
俺が主夫としてデビューし、主人のコリーヌを会社へ送るのこと/主夫第一日目の生活で時間が伸びたり縮んだりするのこと/俺が晩めしを作り、コリーヌから百ドルの家計費をもらうのこと/最初の一日が終り、俺は主夫として眠りにつくのこと
第四章
料理のこと、あるいは、俺たちの結婚史/料理のこと、あるいは、俺のオイスター・ロックフェラーとチョコレート・ムースが惹き起こした意外な反響/料理のこと、あるいは、「しぼまない」スフレの秘密/料理のこと、あるいは、透明なコーヒーの謎/料理のこと、あるいは、愉しきかな、主夫同志のお料理自慢
第五章
掃除のこと、あるいは、コリーヌの不機嫌/子供たちが家の中を散らかし、俺はおふくろそっくりの雷を落すのこと/ヴァレンタイン・デイの感動的一夜/掃除のこと、あるいは、俺の病気/掃除に関する安易な解決、そしてコリーヌが綺麗好きをやめるのこと
第六章
コリーヌの栄光、あるいは、わが家の歴史/わが家が変身し、「まるでグラビア」のようになってしまうのこと/イレーヌ・サルカーン嬢の活躍、あるいは、「完全な家」の出現/晴れの日がやってきて、俺は歯医者へ逃げ出すのこと/子供部屋の惨状、そして、やれやれ、やっと終った!
第七章
「籠の鳥の憂鬱」が次第に俺の心を蝕むのこと/久しぶりのおよばれ、あるいは、主夫生活からの束の間の解放/レッツ・ゴー・トゥー・ザ・パーティー、そしてクレイグ・クレイボーン先生との感激の対面/主夫たる俺の、パーティーにおける栄光と屈辱と
第八章
きちんとした家という夢を抱いて俺が主夫生活に入るのこと/洗濯論、あるいは、システムについて考えてみよう/洗濯におけるもろもろの不愉快、そしてアイロン掛けなぞ糞でもくらえ!/親の心子知らず、あるいは、洗濯男の孤独/「ヤーメタ!」そして、自分のことは自分で、という最良のシステム
第九章
ディナー・パーティー、あるいは、華麗な計画と悲惨な現実/病院の日々、あるいは、天国と地獄/ある日医者の請求書がやってきて、俺が自分の金銭感覚の変化に気がつくのこと
第十章
さて、久しぶりに御主人様の御苦労を眺めてみようか/コリーヌVS筋肉男、あるいは、男はあるがままですでに差別的であるということ
第十一章
主夫生活半年目の記念日に、俺がトップレス・バーへするすると入りこむのこと/トップレス・バーの愉しいひと刻、そして/コリーヌの時ならぬ上機嫌に俺は胸をなでおろし、同時に小首を傾けるのこと/理想の妻、あるいは、ベッドのなかの巨大な氷の塊り
第十二章
「生けるライフ・スタイル」クローディア女史に関するコリーヌの不吉な予言/クローディアとその新しい配偶者の奇妙な食生活/「正しい人々」との生活、あるいは、募りゆく俺の不機嫌/刻々迫りくるスープ・ディナーの恐怖、そしてパーティー寸前の大逆転/肉入りスープの大成功と、「あーァ、とうとう言っちゃった!」の巻
第十三章
俺の金銭感覚、あるいは、かつては俺もいっぱしの博奕うちだったこと/インフレとの孤独な戦い、そして、しょぼくれてゆく俺/ではこのへんで俺の競馬哲学を開陳しよう/突然ですがグリーン・スタンプなど集める君は存在丸ごと、もう完全に舐められているのだぞ!/面白うて、やがて悲しき競馬かな
第十四章
俺が初めて子育てを体験し、男の子と女の子の育て方が違うことを発見するのこと/子供たちとテレビを見るのも容易なことではないのだ!/アーラ、マア、あの美しいシオバーンの口からなんという穢い言葉が!/俺がイースターの兎ちゃんとサンタクロースの死を厳かに宣言するのこと/担任の先生との恐怖の面接、あるいは、「坊主でかした!」
第十五章
ディナー・パーティーでの大論争、あるいは、男女の役割に対する男の偏見、女の偏見のコレクション/女房の両親の立場、すなわち「娘の結婚相手が主夫になってしまった!」/俺の両親の立場、すなわち「息子が主夫になってしまった!」/俺がリンダのためにマヨネーズを作り、多くの男が主夫の素質を持っていることを発見するのこと
第十六章
今日もみんなを送り出しながら、俺が主夫としての喜びをしみじみと味わうのこと/役割交換の最大の疑問点、俺は自分の重荷をコリーヌにおっかぶせただけではなかったのか?/楽しかった一年! しかし、これ以上繰り返したくない、と俺の心は叫ぶ
第十七章
一年の最後の日、俺たちは役割交換を総括し、新年に向かって、新たな結婚契約を構想するのこと/さて、これが俺たちの新しい結婚契約だ。諸君には馬鹿馬鹿しくみえるかもしれないが、これが俺たち一年間の悪戦苦闘の成果なのだ