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イ ベ ン ト

カフェをやっているわけでも
焙煎をしているわけでもないけれど、
イベントでコーヒーをいれることが多い。
ということを前回にも書いた。

イベントに参加するときには
自分で焙煎ができないので
信頼している焙煎人の方々に珈琲豆を
お願いしてコーヒーをいれている。
言ってみれば自慢の豆。自信満々の豆。
おいしいのは知っているけれど、
その味を自分がちゃんと出さなければと思うと
キューっとプレッシャーがかかる。
しかもイベントではいれているところを
じっと見られることも多いので緊張してしまう。
その緊張を吹き飛ばしてくれるのは
コーヒーを飲んだ人が目の前で
「おいしい」
と言ってくれるひとこと。
実に単純できている。

つい先日もとあるイベントでコーヒーをいれていた。
お父さんとお母さん、そして小学生の息子さんが2人。
ご家族でコーヒーを頼んでくださって
少し離れたところからだけど手元に視線を感じる。
気づかないふりをしていても見えない矢印が手元に届く。
・ ・ ・ ・ → → → と。

いれ終わったコーヒーをお渡しすると
二人の息子さんたちが家でコーヒーをいれる係りなのだということを
お母さんから伺った。
「人にいれてもらった方がコーヒーっておいしいと思うから
息子たちにお願いするようになったんです」とお母さん。
素敵なお母さんだ。
本を見ながらあぁでもないこうでもないと言いながら
二人の少年はコーヒーをご両親にいれてあげているそうだ。
たぶん「おいしい」のひとことが嬉しいんじゃないだろうか。
なんだかとっても微笑ましくて嬉しくなってしまって
握手をさせて頂きました。

私が小学生の頃にはインスタントコーヒーや
給食に出てきた牛乳に溶かすミルメークなどという
そんなコーヒーとしか縁が無かったというのに。
二人の少年のこれからが楽しみだ。
どんな大人になるのだろう?
中学生になって同級生に、そしてもう少し大人になって
好きな女の子にコーヒーをいれてあげて・・・
想像するだけでもかなりかっこいい。
たったひとことの「おいしい」のために。
単純なのも悪くない。


coffee

 

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