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郊外へ出るとバスの数がますます増えた。
満員の乗り合いバスがうなりを上げて走っている。
そういう車を何台も追い越した。
追い越す度に様子を伺う。一様に黒い。
黒い人ばかり乗っている。
バス乗り場で、女の鮮やかな服の色にはっとする。
女は鮮やかな布に包まれた何かを頭の上に乗せていた。
「あのバスに乗ってみたい」
臆病なくせに一瞬でそう思うのだ。
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