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2月○日 「耳に親しんだ歌をやってほしい、そういう気持ちもあるんだよねぇ」 語りかけながら新聞をパラリパラリしているのは、商店街の旦那だろうか。 ママは、そうねーと相槌をうったあと、何か、上手に話しながら洗い物をしている。 ふらりとやってきては、カウンターに座って、 適当に世間話なんかして帰っていく人が運んでくる空気の感じなんか、おもしろくて、 長岡にきたら必ずこの喫茶店へ立ち寄る。
諸般の事情で長岡へくるようになってから数カ月。 1月に来た時は、佐々木マキさんの作品が店を飾っていた。 見ていると、物語に吸い込まれそうな不思議な感覚があった。 今はもう、2月も終わろうとしているところで、 お店の中は古いお雛様一色。