<< 目次へ
[7 ]
鳥を呼ぼう!その 2
鳥たちがついついやって来たくなるような庭にするために
いくつかの工夫をしてみることにしました。
鳥たちのためではありますが、
その結果、庭がより豊かになるというおまけつきです。
1)実のなる木
鳥たちは木が好きです。
まずは1本でもいいので、鳥が止まれるような
枝がしっかりと伸びた木があるといいですよね。
それが実のなる木ならもっと魅力的でしょう。
人間が食べられるものはもちろん、
人間が食べられなくても鳥たちには美味しい実も
たくさんあります。
我が家では、人間も楽しめるものとして、
ヤマモモ、ヤマボウシ、ユスラウメ、ジューンベリー、
イチジク、フェイジョア、ナンテン、ブルーベリー、
ナツハゼなどを植えています。
これらは鳥たちも大好きです。
ヤマモモ
ジューンベリー
他にも果樹全般をはじめ、ソヨゴ、クロガネモチ、
ネズミモチ、モッコク、ヒサカキ、マユミ、イヌツゲ、
ピラカンサ、ムラサキシキブ、シャリンバイなどなど、
世の中には鳥たちが好む実のなる木が
あげれば切りがないほどたくさんあります。
好みのものを見つけて、眺めて楽しみ、
そして鳥たちにも楽しんでもらえたらいいですね。
2)巣箱
年々、木々が伐採され、山や森が少なくなり、
鳥たちが棲む場所が少なくなっています。
そのため巣箱はとても重宝されます。
1つ設置してみるとよくわかります。
市販の巣箱で構いません。
鳥たちは3月〜7月頃に繁殖をするので、
その前、できれば冬の間に設置をします。
なるべく高いところに、
そして雨風が入らないように、少々前向きに設置します。
繁殖前に設置しておくと、
鳥たちはちゃんと内見に来るんですよ!
巣箱が気になっているようです。
近づいてきました。
入りました!
設置後、こんな風に
何組ものシジュウカラやスズメが
穴をのぞいたり、試しに穴に入ったりと
内見客としてやって来ました。
その様子を見るだけでもとても楽しいものです。
そして初夏になった頃、スズメの夫婦が入居しました。
最初は巣箱に枯れ枝などをせっせと運び、巣作りにはげみ、
あっという間に卵を産み、赤ちゃんが産まれ、
今度はせっせと虫をくわえて運ぶ姿が見られました。
口に虫を加えているのがわかるでしょうか。
丁度、私自身も妊娠中だったこともあり、
毎日、何度も何十回も虫を運ぶ親鳥の姿に胸が熱くなり、
そして巣箱から聴こえてくる
可愛らしい赤ちゃん鳥の声に心が躍りました。
大きく育ち、
巣箱の穴から赤ちゃん鳥の顔が見えたときには、
感動でいっぱいに。
無事にひな鳥は巣立ってゆきました。
巣箱をかけただけのことですが、
一羽の雀の生誕と成長を手助けできたことを
とても嬉しく思いました。
3)餌
鳥を呼ぶのに最も大切なのは、やはり食べ物です。
ここには美味しいものがたくさんあるんだと覚えてもらうと、
通って来てくれるようになります。
だからといって、年中あげて良いわけではありません。
自然界の食物連鎖を壊さぬよう、
餌が少ない冬場だけに限定する必要があります。
11月〜4月頃までが妥当と言われていますが、
我が家では虫がほとんど見受けられない
雪が降る頃から、桜が散るまでと決めています。
餌を与えるのには、市販のバードフィーダーを利用しています。
向日葵の種などを入れると、底にある穴から
少しずつ出るような仕組みになっています。
小さな鳥がとまるには丁度よく、
多くの鳥が餌をついばんでいきます。
ペットボトルや牛乳パックなどで自作してもいいですね。
その際、餌が出てくる穴と、
それらをついばめるように
割り箸などを差して止まり木をつけましょう。
もっと手軽にザルや浅い箱などに
並べるだけでも構いません。
いずれにしても猫などに狙われないように
高さのある場所に設置することが大切です。
4 )水
意外に忘れがちなのは水場です。
水を飲んだり、水浴びのために
水場があるとなおさら魅力的です。
理想的なのは、自然な水場があることですが、
私は洗面器やたらいに石ころを並べて、
1〜2センチほど薄く水を張るという
簡単な方法にしています。
地面にあるほうが自然ですが、
やはり猫などに狙われにくいよう茂みなどは避け、
見通しの良い場所に置きます。
鳥たちは、最初の1、2週間ほどは
安全かどうか様子を見ているので、
気長に来るのを待ちましょう。
●鳥の好きな食べ物
さて一番大切な鳥たちの食べ物について、
詳しく見ていきましょう。
1)向日葵の種や殻付きのピーナッツ
簡単に手に入れる
向日葵の種や殻付きのピーナッツがおすすめです。
特に向日葵の種は、ハムスターの餌として
ペットショップや100均で手軽に手に入ります。
スズメやシジュウカラなど多くの鳥が好み、
すぐに鳥が集まってきますよ。
種の殻をクチバシでつついて割る
可愛らしい姿を眺めることができます。
2)果物
みかんなどの柑橘類や柿、林檎などを
食べやすいように半分に切ったり、輪切りにして
餌場に置きます。
私はよく冬場に枯れた木々の枝先に
差しています。
メジロやヒヨドリなど甘味が好きな鳥が集まります。
特にメジロは姿も鳴き声も愛らしく、
ついつい毎日あげたくなりますよ。
こんな風にアクロバティックな姿が見られることも。
我が家では手軽さを重視して、
向日葵の種と果物が定番メニュウです。
3)米粒、パン屑
もっと手軽なものに米粒とパン屑があります。
これらを適当に蒔くだけでも、鳥たちはめざとく見つけ
すぐにやって来るでしょう。
4)その他
鳥達は小さな身体で
寒い冬を乗り越えなければならないこともあって、
以外に高カロリーな食事を好むそうです。
少々手間はかかりますが、
例えば、牛脂やバードケーキと呼ばれる
マーガリンと小麦粉を練り合わせたものなどを用意すると、
より多くの鳥達が集まってくるかもしれません。
●鳥の種類
東京の我が家の庭に、よく来る鳥を紹介します。
鳥を呼び寄せて2度目の春になりますが、
毎日、たくさんの鳥がやって来ます。
スズメ
一番身近な鳥はスズメではないでしょうか。
とても臆病なので、スズメが居る場所は安全と
他の鳥たちもやって来るそうです。
まずはスズメを呼びたいですね。
シジュウカラ
モノトーンの小柄な鳥です。
とても人懐っこいので、
餌を置けばすぐにやって来ます。
うつむき加減で向日葵の種を
クチバシでつついて割っています。
メジロ
スズメよりも小さいうぐいす色の可愛らしい鳥です。
(ちなみにウグイスはうぐいす色ではなく、
薄茶色で地味な色です。)
目の周りが白いのですぐにわかります。
甘いものが大好きで、果物を置けばすぐにやってきますよ。
蜜の甘い花にも寄って来ます。
ムクドリ
クチバシがオレンジ色の鳥です。
ギャーギャー、ギーギーと少々うるさく騒ぐので
気づきやすい鳥です。
ヒヨドリ
グレーの身体にボサボサ頭が特徴です。
ピーピーと大きな声で鳴くきます。
日本ではよくみかける鳥ですが、
日本と日本の近くにしか住んでいない、
世界的には珍しい鳥だそうです。
キジバト
ホ、ホオーホホ、ホ、ホオーホホ、ホ、ホオーホホ、ホ、ホオーホホ、ホ
という特徴ある鳴き方のハトです。
鱗模様、首のあたりの縞模様がきれいですね。
これが公園などで見かけるドバト(伝書鳩)との違いです。
7)その他
写真には収めることができなかったのですが、
すらりと尾の長いオナガや、
ペットが野生化したのかインコもやって来ました。
ウグイスは声が聞こえるのですが、
地味な色のせいか見つけることができません。
●ビオトープガーデン
こうして鳥たちがやってくる庭を作っていると、
自然に庭が豊かになっていきます。
多くの木があれば、多くの鳥や虫がやってきます。
水場があれば、やはり多くの鳥や水場が好きな虫も住みつきます。
また雑草を含めて、緑の種類を増やすと
鳥も虫も緑も多種多様になり、食物連鎖が生まれ、
小さな自然が営まれるようになるのです。
鳥も虫も糞をしますから土が豊かになり、
鳥が食べた実の種が自然に土に落とされ、
新しい緑が顔を出す事もあるでしょう。
そうして自然が自然のままに営まれるようになると、
特定の虫が大発生するから農薬をまかなくちゃとか
植物の育ちが悪いから肥料をいっぱいまかなくちゃとか
自然を壊すような人間による手入れが不要になっていきます。
つまりは庭が勝手に育つようになるのです。
豊かな土、自然があれば、必要最低限の手入れだけで
植物たちは元気にのびのびといきいきと育つようになります。
そんな自然の営みが見られる庭を
ビオトープガーデンといいます。
言葉にすると難しそうに聞こえるかもしれませんが、
緑の力に任せるだけのこと。
私達人間は最初の環境を整えたら、
あとは見守り、楽しむだけでいいのです。
あれこれ手を入れすぎたり、薬や肥料をやりすぎて
自然な営みを不自然にすると余計な手間が増えるだけです。
何もしないことが、結局は私たちもラクなのです。
そしてとても豊かで楽しい庭が目の前にできるのです。
これは長年、あれこれ手を入れたり、入れなかったり
いろんな方法を試してみて、実感していることです。
鳥が集まるようになった我が家。
次の春には、ネキリムシの被害は皆無でした。
おそらく鳥たちが食べてくれたのだと思います。
それ以上に、鳥たちのかわいらしい姿と軽やかな鳴き声で
庭がより賑やかに、楽しい場所へと変化しました。
鳥を呼ぶことで皆さんの庭も豊かになりますように。
それが小さなベランダであってもできますよ。
はじめてみてはどうでしょうか?
参考文献:
大橋弘一+Naturally著『庭で楽しむ野鳥の本』山と渓谷社 2007年
藤本和典著『野鳥を呼ぶ庭作り』新潮社 2005年
*ムクドリのみフリー画像を使いました(まちふぉとより http://machi-photo.net /)
copyright 2011 anonima studio |