アノニマ・スタジオWeb連載TOP > 五味太郎「もみのき そのみを かざりなさい」展 のお知らせ >「森岡書店」店主・森岡督行さんが語る五味太郎さんの魅力
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「森岡書店」店主・森岡督行さんが語る
五味太郎さんの魅力
東京・銀座の中心街から離れた少し静かな場所にある「一冊の本からインスパイアされる展覧会を行う書店」森岡書店。店主である森岡督行さんに、絵本との付き合いや、五味太郎さんの絵本の魅力について語っていただきました。
絵本の時間
幼少期、家に絵本がたくさんあるというわけではありませんでしたが、祖母が読んでくれた記憶は鮮明に残っています。私には娘が2人いるのですが、小さい頃は毎日絵本を読んでいました。当時はあまり子どもと接する時間がなく、絵本を読むときが一日の中でいちばん子どもと向き合える時間でした。
娘たちに絵本を読む中で、今度は何を読もうかな、と本屋の書棚を見ているときに、ああ自分も五味太郎さんの絵本を読んだな、五味さんの本ってずいぶんとあるんだな、と改めて感じましたね。よく読んだ絵本のひとつは、定番の『きんぎょがにげた』。この本、何回読んだことか。きんぎょがどこに逃げたか、実際に指で差したりしましたね。親子のコミュニケーション手段としてすごく良かったなって思います。
あとは『うみのむこうは』。私の最も好きな五味さんの作品です。水平線が一本あって、そこに船だったり、恐竜だったりが出てくるのですが、水平線の先はどうなっているんでしょうかね?と、語りかけながら読んでいました。そういう時間は今にして思えば代え難いなと思っています。結局、自分が好きだったものをよく子どもにも読んでいましたね。
娘たちには、世界には正解がないこともあるということを伝えたかったのですが、もしかすると何も伝わってないんじゃないかと思うときもあります。でもそういうことに気づくのは後々でいいんじゃないかなとも思います。
娘たちに絵本を読む中で、今度は何を読もうかな、と本屋の書棚を見ているときに、ああ自分も五味太郎さんの絵本を読んだな、五味さんの本ってずいぶんとあるんだな、と改めて感じましたね。よく読んだ絵本のひとつは、定番の『きんぎょがにげた』。この本、何回読んだことか。きんぎょがどこに逃げたか、実際に指で差したりしましたね。親子のコミュニケーション手段としてすごく良かったなって思います。
あとは『うみのむこうは』。私の最も好きな五味さんの作品です。水平線が一本あって、そこに船だったり、恐竜だったりが出てくるのですが、水平線の先はどうなっているんでしょうかね?と、語りかけながら読んでいました。そういう時間は今にして思えば代え難いなと思っています。結局、自分が好きだったものをよく子どもにも読んでいましたね。
娘たちには、世界には正解がないこともあるということを伝えたかったのですが、もしかすると何も伝わってないんじゃないかと思うときもあります。でもそういうことに気づくのは後々でいいんじゃないかなとも思います。
初めての絵本、『ライオンごうのたび』
今年の3月に『ライオンごうのたび』という絵本を出版したのですが、10年近く構想を温めた本で、娘のために考えた話なんです。
ビジネス書みたいな話になるのですが、仕事をするときに自分のまわりの人とか、友達とか、なにかその人のためにしたことがビジネスの核になっていると、すごい広がるんじゃないかなっていう気がしていました。嘘がないっていうかね。例えば、この人のために作るカレーライスとか、自分の好きな人のために作るアップルパイとか、そういうものは全力で作ると思うんです。それが好評だったから、じゃあみんなに作ってみましょうかとかっていう風になると仕事としてうまくいくんじゃないかなと、そんな考え方ですね。それと一緒で、この絵本は私が自分の娘のために作ったものだから、それが仕事になるのであればうまくいくんじゃないかなって。もちろん本屋という職業をしていることもあって、こういう形を選んだところもありますが。
本の最後に「不思議なものを不思議と思える」という言葉を書いたのですが、宇宙の広がりとか海の向こうってどうなっているんだろうとか、多分、勉強ってそういう不思議なことを誰かが不思議と思ったところから派生してきてるんじゃないかなと思って書きました。こういう観点を自分が小さい頃に持っていたら、例えば理科や数学とか物理とか化学とか、まあなんでもそうですけど、もっと身近になったんじゃないかなと思います。
この絵本を書くまでは、読むときにはテンポよくリズムよく読める絵本がいいなと思っていました。でも改めて自分が作り手となって絵本を観察してみると、実はそうはなってないなと気がつきました。意図的にリズムがないような文章や、決してリズムが良くないようなものがあるのだなと。
ビジネス書みたいな話になるのですが、仕事をするときに自分のまわりの人とか、友達とか、なにかその人のためにしたことがビジネスの核になっていると、すごい広がるんじゃないかなっていう気がしていました。嘘がないっていうかね。例えば、この人のために作るカレーライスとか、自分の好きな人のために作るアップルパイとか、そういうものは全力で作ると思うんです。それが好評だったから、じゃあみんなに作ってみましょうかとかっていう風になると仕事としてうまくいくんじゃないかなと、そんな考え方ですね。それと一緒で、この絵本は私が自分の娘のために作ったものだから、それが仕事になるのであればうまくいくんじゃないかなって。もちろん本屋という職業をしていることもあって、こういう形を選んだところもありますが。
本の最後に「不思議なものを不思議と思える」という言葉を書いたのですが、宇宙の広がりとか海の向こうってどうなっているんだろうとか、多分、勉強ってそういう不思議なことを誰かが不思議と思ったところから派生してきてるんじゃないかなと思って書きました。こういう観点を自分が小さい頃に持っていたら、例えば理科や数学とか物理とか化学とか、まあなんでもそうですけど、もっと身近になったんじゃないかなと思います。
この絵本を書くまでは、読むときにはテンポよくリズムよく読める絵本がいいなと思っていました。でも改めて自分が作り手となって絵本を観察してみると、実はそうはなってないなと気がつきました。意図的にリズムがないような文章や、決してリズムが良くないようなものがあるのだなと。
五味太郎さんの魅力
『もみのき そのみを かざりなさい』はテキストが命令形でかかれていますよね。もし自分が子どもに読むなら、「ふね とびなさい」…何だろうね? 「さめ わすれなさい」…何を忘れるんだろうね? 次のページに行くまでにひとつコミュニケーションが発生して、そこで次のページに行くまでに交わされる言葉がありますし、それがいったい何だろうと考えさせられる。そこにすごく魅力があるんだろうなと思います。
あと、この本の最初のページと最後のページには青と緑の色のみで何も絵がないですよね。私には窓みたいに見えました。家の中から外を見ているものと、外から中を見ているものと両方ある、そういう仕掛けといいますか、秘密があるのかなと思います。こんなふうに自分で考えることができるというのも絵本の良さですよね。
五味さんの絵本からは、五味さん自身が作ることを楽しんでいるっていうのが伝わってきます。楽しくてやっていることだからどこにも無理が感じられません。楽しそうな人がいるとこっちも楽しくなるというか、深刻な顔をしている人のところには近づかないじゃないですか。楽しいとか喜びとか美しいとかそっちの方にどうしても行きたくなりますよね。
五味さんは何かを押し付けるっていうことをしたくないんじゃないかな。もしその絵本を子どもが読んで、没頭したり、ホッとする子がいたら、その子なりに何かを得るだろう、とそんなスタンスなんじゃないかなっていう気がします。
今回この本を販売する機会を頂いて、クリスマスに向けてもぜひ多くの人に手に取ってもらいたいです。もちろんクリスマスっていうこともあるんですけれど、いろいろと考えるトリガーになると思います。考える自由の楽しさみたいなものを伝えることができるんじゃないかな。
日付/2021年11月12日
場所/森岡書店
記事/アノニマ・スタジオ
協力/清水洋平(清水屋商店代表)
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