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世界自然遺産、屋久島。「海上のアルプス」とも呼ばれ登山のイメージが強い島ですが、登らずとも楽しめる自然やスポットがたくさんあります。そんな屋久島の知られざる魅力を紹介している旅ガイド『Hello!屋久島』。屋久島の港、宮之浦で一湊珈琲焙煎所を営んでいる著者の高田みかこさんが、旬の屋久島情報をお届けします!
14 冬の星座。
屋久島と口永良部島の小中高校生を対象とした詩のコンクール「オリオン三星賞」の授賞式が、開催されました。
屋久島に暮らし、2001年にこの世を去った詩人・山尾三省さんの業績を記念して創設された賞で、今年で15回を数えます。私もここ数年、審査員、ノミネート作品集「星座」の編集者として参加させてもらっています。
今年の個人的イチオシは、小学校低学年の部の優秀作を受賞した宮浦小学校1年、つる だいしんさんの「にゅうがくしき」。
まま
だいちゃんが
がっこう いくのは
いちねんせいと
にねんせいだけ だからね
いいでしょう?
さいしょから
ろくねんせいまでって
かってに
きめないでよ
反骨心あふれる新入生の言葉に、大人の常識を覆されます。自分の意思とは別のところでいろんなことがどんどん決まって、巻き込まれていく、小学1年生の戸惑いが確かに思い起こされて、子どもたちの詩に触れながら、幼い日の私自身と再会するような、むずがゆい気持ちがよみがえります。
三省さんは、ものごころついた時から、そこにいました。
家族ぐるみの付き合いをする両親の友人を「詩人」と呼ぶには、身近すぎて照れくさく、著作に手を伸ばしたのは、成人して東京で暮らしているときのこと。
ページを開くと、「黄金色のおこばな」「トッピョイチゴ」「首折れ鯖」「鹿の啼き声」「猫のヒューマ」「山羊のローラ」「アカウミガメの屍体」……幼い私を取り巻いていたものたちが、一斉に飛び出してきて、写真や映像よりも鮮明に私という人間を浮かび上がらせていたのでした。
そこに描かれた島の暮らしは、極私的でありながら、普遍的な悩みや喜びに満ちていて、開くたびに、そのときどきの私に応じた共感に満ちています。
島では、進学や就職で島を離れる準備が、始まる頃。たくさんの大人に見守られてきた島の子どもたちにとって、「その他大勢」になることは、心地よくもあるけれど、心細くもあるでしょう。
島を出た子どもたちが、遠く離れた都会の書店で、ふと手に取る三省さんの本に、元気付けられますように。
木造のホームセンター「SOMES」には、地杉のクリスマスツリーが登場。てっぺんには素朴な銀の星が輝いています。幼い頃は、キラキラの大都会に心から憧れたけれど、辺りが暗いからこそ輝きを増す、静かな島のクリスマスもまた魅力的と思えるのは、年を重ねた証でしょうか。
『Hello!屋久島』
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高田みかこ(たかた・みかこ)
屋久島の北の港町、一湊育ちの島ライター。東京の出版社に勤務したのちUターン。現在は、宮之浦のフェリービルディングで「一湊珈琲焙煎所」と一組限定の貸しコテージ「おわんどの家」を夫婦で営む。単行本の編集、里の取材コーディネイト、WEB サイト「屋久島経済新聞」「やくしまじかん」に執筆中。
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