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世界自然遺産、屋久島。「海上のアルプス」とも呼ばれ登山のイメージが強い島ですが、登らずとも楽しめる自然やスポットがたくさんあります。そんな屋久島の知られざる魅力を紹介している旅ガイド『Hello!屋久島』。屋久島の港、宮之浦で一湊珈琲焙煎所を営んでいる著者の高田みかこさんが、旬の屋久島情報をお届けします!
18 ルビー色の贈り物。
今年はスモモが豊作らしく、直売所やスーパーにも、屋久島産のスモモがたっぷりと積まれていました。
屋久島で初夏に出回るスモモは、本州でいうところの皮が赤く実がオレンジ色のそれと違って、皮から芯まで紫がかった濃いルビー色をしています。
ぶよぶよに熟れるまで待たないと、酸味が甘味に勝ってしまう、食べ頃が難しい果物なのですが、火を入れたり、果実酒にすると、この酸味と色がうまい具合に働いて、美しい加工食品に仕上がるのです。
今年はたくさん頂いたので、コーヒーショップで提供するトーストに添えるコンポートを仕込みました。しっかり熟れたものを生食用により分けて、固いものは加工用に回します。
桃をむく要領で真ん中にナイフを入れて、両手でひねって半分、種がついた半分にナイフを入れてさらにひねって4分の1、種に残った残り4分の1はナイフでこそいで外します。
スモモの重さの半量の砂糖をまぶすと固い実から、驚くほどたくさんの水分が出てくるので、そのまま水を入れずに、スモモの形が残るくらいまで、軽く火を入れてできあがり。わが家では香りづけにインドシナモンと呼ばれるカシアの樹皮も入れています。
タンカンマーマレードにはクローブ、金柑の甘煮にはカルダモン、イチゴジャムには黒胡椒……。
果物を煮るのにスパイスを合わせるようになったのは、店でカレーを提供していた頃の名残。毎日スパイスの香りに包まれ、さまざまな組み合わせを試す中で、副産物としてこんな保存食が生まれました。
「カレーの香りがコーヒーの香りに勝ってしまう」などなどの理由で、コーヒーの豆の販売に力を入れるに従って、カレーはメニューから下げ、プライベートで作るのみになりました。それでも「限界まで、スパイスの種類を減らしてみよう」と、さまざまな組み合わせを試行錯誤した日々は、今も保存食作りやコーヒーの味や香りを言葉で表現するのに役立っています。
『Hello!屋久島』
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高田みかこ(たかた・みかこ)
屋久島の北の港町、一湊育ちの島ライター。東京の出版社に勤務したのちUターン。現在は、宮之浦のフェリービルディングで「一湊珈琲焙煎所」と一組限定の貸しコテージ「おわんどの家」を夫婦で営む。単行本の編集、里の取材コーディネイト、WEB サイト「屋久島経済新聞」「やくしまじかん」に執筆中。
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