アノニマ・スタジオWebサイトTOP > 京都暮らし ケときどきハレ日記 もくじ > 01 桜が咲いたら、そわそわと。
京都にはなにもかもある。
大げさでなく、年を重ねて、つくづく思うことです。
生まれ育った京都を離れ、ふたたび暮らし始めて、ようやくわかりました。
自分が探しているものは、みんなここにあったのだと。
どこまでも歩きたくなる町並み、すぐそばにある山と川、お祭り、おいしいもの、美しいもの。
受け継がれるもの、だれかのための祈り、人と人のつながり。
知りたいこと、見たいもの。
わたしの心を動かすものが、みんなここにあったのです。
10代、20代はわかっているようで、ちっともわかっていなかった。
灯台下暗しもいいとこです。
京都のおもしろさ、奥深さに、すっぽりとはまって、京都の祭事を追っかける日々を送っています。
京都はいつも「今」が楽しい。
いつ来ても、そのときどき、出会えるものがあります。
ケ=ふだんの京都と、そのつづきにあるハレの京都へ、これからご案内します。
大げさでなく、年を重ねて、つくづく思うことです。
生まれ育った京都を離れ、ふたたび暮らし始めて、ようやくわかりました。
自分が探しているものは、みんなここにあったのだと。
どこまでも歩きたくなる町並み、すぐそばにある山と川、お祭り、おいしいもの、美しいもの。
受け継がれるもの、だれかのための祈り、人と人のつながり。
知りたいこと、見たいもの。
わたしの心を動かすものが、みんなここにあったのです。
10代、20代はわかっているようで、ちっともわかっていなかった。
灯台下暗しもいいとこです。
京都のおもしろさ、奥深さに、すっぽりとはまって、京都の祭事を追っかける日々を送っています。
京都はいつも「今」が楽しい。
いつ来ても、そのときどき、出会えるものがあります。
ケ=ふだんの京都と、そのつづきにあるハレの京都へ、これからご案内します。
01 桜が咲いたら、そわそわと。
さて、春です。
京都の春。春は桜。
京都の桜暦はゆっくりと、
ひと月にわたってつづきます。
3月半ば、出町柳にある、
南から北へ、街中から山間へ、
日本列島の桜前線のようにだんだんと、
見頃の名所が移り変わっていきます。
〆は4月半ば、遅咲きで知られる、
いつもの景色を別世界にしてしまう、
桜のすごさはそこやなと思います。
もうそろそろかなあと、
いそいそ見に行く、桜があります。
美術館が集まる岡崎の、
ここは、わたしにとって、「ケ」の桜。
用事のついでに、ふわふわと足が向かいます。
1人ずつしか渡れない、小さな橋がかかっていて、
ランドセルの小学生も通る、地元の人が歩く道。
水面に迫り出すように桜が咲いて、
春一色。わあっと胸が高鳴ります。
ここを起点に、
疏水沿いの桜をたどって、
あるいは、
時間と体力まかせ、気の向くまま、
ひたすら桜を追っかけて歩きます。
京都の中心を流れる、
七条、五条、四条……と、南から北へ、
日に日に桜が咲いて、
「五条まで咲いてたで」と、
家族で報告し合うのが毎年の慣わし。
そうやってだんだんと、春に満たされていくのです。
気の置けない友だちとのお花見も、鴨川。
鴨川は、京都に暮らす人にとって、
生活サイクルの一部。
季節の移り変わりを知らせてくれる場所です。
「ハレ」の桜は、
遠くからのお客さまを案内したい、桜。
「細雪」の四姉妹が愛した、
京都にいると観光地はあんがい足が遠のくもので、
昨春、機会があって訪れ、惚れ惚れしました。
天から降り注ぐような、ピンク色。
小説の中の桜を体感できるのは楽しいです。
枝垂れ桜で知られる
さまざまな品種が咲きそろう
盛大に花見茶屋が出て、
お酒を楽しみながらわいわいできます。
夜風に吹かれて、ふわりとほろ酔い。
肌寒くとも、うきうきします。
桜守、
春のみ公開される、知る人ぞ知る、桜。
春が来たら、あの桜に会いにいく。
そんな桜があるのは、しあわせなこと。
いろんなことがあっても、
桜はちゃんとまた咲いてくれる。
こんなありがたいことはない。
そうして、5年後、10年後……、
桜とふたたび会えた喜びは、
想像を越えて、大きくなっているのです。
京都の春。春は桜。
京都の桜暦はゆっくりと、
ひと月にわたってつづきます。
3月半ば、出町柳にある、
長徳寺のおかめ桜
①が咲いたら、はじまり。南から北へ、街中から山間へ、
日本列島の桜前線のようにだんだんと、
見頃の名所が移り変わっていきます。
〆は4月半ば、遅咲きで知られる、
仁和寺の御室桜
②。いつもの景色を別世界にしてしまう、
桜のすごさはそこやなと思います。
もうそろそろかなあと、
いそいそ見に行く、桜があります。
美術館が集まる岡崎の、
白川沿い
③。ここは、わたしにとって、「ケ」の桜。
用事のついでに、ふわふわと足が向かいます。
1人ずつしか渡れない、小さな橋がかかっていて、
ランドセルの小学生も通る、地元の人が歩く道。
水面に迫り出すように桜が咲いて、
春一色。わあっと胸が高鳴ります。
ここを起点に、
疏水沿いの桜をたどって、
インクライン
④まで。あるいは、
白川
⑤をたどって、祇園まで。時間と体力まかせ、気の向くまま、
ひたすら桜を追っかけて歩きます。
京都の中心を流れる、
鴨川
⑥沿いも、えんえんと桜。七条、五条、四条……と、南から北へ、
日に日に桜が咲いて、
「五条まで咲いてたで」と、
家族で報告し合うのが毎年の慣わし。
そうやってだんだんと、春に満たされていくのです。
気の置けない友だちとのお花見も、鴨川。
鴨川は、京都に暮らす人にとって、
生活サイクルの一部。
季節の移り変わりを知らせてくれる場所です。
「ハレ」の桜は、
遠くからのお客さまを案内したい、桜。
「細雪」の四姉妹が愛した、
平安神宮の八重紅枝垂れ桜
⑦。京都にいると観光地はあんがい足が遠のくもので、
昨春、機会があって訪れ、惚れ惚れしました。
天から降り注ぐような、ピンク色。
小説の中の桜を体感できるのは楽しいです。
枝垂れ桜で知られる
円山公園
⑧、さまざまな品種が咲きそろう
平野神社
⑨は、盛大に花見茶屋が出て、
お酒を楽しみながらわいわいできます。
夜風に吹かれて、ふわりとほろ酔い。
肌寒くとも、うきうきします。
桜守、
佐野藤右衛門邸
⑩の桜もとっておき。春のみ公開される、知る人ぞ知る、桜。
春が来たら、あの桜に会いにいく。
そんな桜があるのは、しあわせなこと。
いろんなことがあっても、
桜はちゃんとまた咲いてくれる。
こんなありがたいことはない。
そうして、5年後、10年後……、
桜とふたたび会えた喜びは、
想像を越えて、大きくなっているのです。
京のおやつ
桜餅
季節を知らせるのは、花だけにあらず。花よりだんご、和菓子屋さんが暦に気づかせてくれます。ガイドブックにのっていない、小さな和菓子屋さんが京都にはまだまだたくさんあって、“ケ”=ふだんのおやつとしてご近所さんに愛されています。京都の桜餅は、道明寺のお餅を桜の葉の塩漬けで包んだもの。ふわっと桜が香って、桜が咲くより早く、春を感じさせてくれます。花見だんごやうぐいす餅もいっしょに並んで、春爛漫。春のあの、わくわくする気持ちを、思い出させてくれます。子どもの頃から親しむ、末廣屋で。
著者プロフィール
宮下亜紀(みやした・あき)
京都に暮らす、編集者、ライター。
出版社にて女性誌や情報誌を編集したのち、生まれ育った京都を拠点に活動。「はじめまして京都」(共著)のほか、「イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由」(イノダコーヒ三条店初代店長 猪田彰郎著)、「絵本といっしょにまっすぐまっすぐ」(メリーゴーランド京都店長 鈴木潤著、共にアノニマ・スタジオ)、「雑貨店おやつへようこそ 小さなお店のつくり方つづけ方」(トノイケミキ著、西日本出版社)など、京都の暮らしから芽生えた書籍や雑誌の編集を手がける。
www.instagram.com/miyanlife/
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