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03 いつもそばに山があるから。
京都は山が近い。
鴨川を渡るとき、山の近さを感じます。
冬にはうっすらと頂きが雪をかむる。
春にはいきいきとした若葉色になる。
しょっちゅう通るのに通るたび、「京都はいいなあ」と思います。
ばたばたと日々が過ぎて、もやもやしたとき、
気持ちをリセットするのにも、山はちょうどいい。
まわりにも気軽に山歩きする友だちがいます。
湧き水を汲んで、おにぎりを食べて、季節の花を見つけて。
遠出しなくても、自然の中にいられる。京都の良さやなあと思います。
京都を旅する人にもおすすめなのが、
あの「大」の字の上に立つ。
それだけでわくわくしませんか。
五山送り火の山の中で、唯一、だれでも登れる山。
身近な山として親しまれていて、
子ども連れ、地元の方々、
登山愛好者も多く、にぎわいます。
すべりやすい斜面がつづき、
最近は遭難する人も増えているとのこと、
しっかりと山歩きの準備をしてどうぞ。
ゴールデンウィークに歩いてみると、
山つつじや藤の花が咲き、
鶯が高らかに鳴いていました。
さっきまで、銀閣寺観光の人ごみの中にいたのに、
たちまち山の中です。
ゆっくり歩けばもう少し。
大の字にたどり着けば、絶景が待っています。
いざ、大の字の上に立ってみると、
思いのほか広範囲で、しかも急斜面。
木々が取り払われているので、遮るものはなく、
京都が一望のもと。
石段で上から下まで歩けるのですが、
こわがりの私は上り下りにおしりがむずむずします。
送り火があるのは、お盆を締めくくる、8月16日。
お盆に帰ってきはったご先祖様をお見送りし、
無病息災を祈願します。
このとき登れるのは関係者のみ。
大の字の真ん中に、弘法大師堂。
火床は、75基。
大の字の一画80m、二画160m、三画120m。
急斜面にある70基の火床、
ひとつひとつに薪を積み、
暗闇に包まれた午後7時に点火。
いかにたいへんなことか、
ここに身を置くとよくわかり、
ありがたさに、じんとします。
帰り道、白川通から見上げれば、くっきりと大の字。
あそこにいたのかと思うと、
なんだか大きなことを成し遂げたようでうれしく、
また登ろうと思うのです。
どのあたりに住んでいるかで、
親しみのある山はそれぞれ違っていて、
わたしが子どもの頃、よく登ったのは、
鳥居が延々と続き、お社がいくつもあって、
木漏れ日の中で見る、苔や羊歯の緑の美しいこと。
ひと休みできる茶屋もあって、
湧き水でゆでたゆで玉子を食べるのが好き。
ぜひお参りしながら、
ぐるりと稲荷山をめぐってみてください。
7月31日夜から8月1日の早朝にかけて、
火の用心のお札をいただきに
多くの人が登る、
義経と天狗の伝説で知られる、
ほかにもさまざま名のある山があって、
その多くに神様、仏様がまつられる、
山は古くからの祈りの場、修行の場でもあります。
街のそばにあって、いつも山は清らか。
京都に来たなら、山を歩いてみるのも、いいものです。
大好きな甘味処で、足休め。
甘いもん好きには、ここ!というご贔屓の甘味処があるもの。わたしの場合、あんみつなら「月ヶ瀬」、かき氷なら下鴨神社の「さるや」、桂の「中村軒」も好き。そして、銀閣寺あたりまで来たら、「㐂み家」の豆かん。赤えんどう豆が豆らしく、寒天、黒みつとバランス良く、さっぱりとキレ良く、おいしい。バニラアイスとあんののった、まる豆かんがお気に入りです。夏はかき氷、冬はぜんざいや白味噌雑煮もあってなやましいけれど、結局、いずれにしても豆かんは食べてしまうのでした。
鴨川を渡るとき、山の近さを感じます。
冬にはうっすらと頂きが雪をかむる。
春にはいきいきとした若葉色になる。
しょっちゅう通るのに通るたび、「京都はいいなあ」と思います。
ばたばたと日々が過ぎて、もやもやしたとき、
気持ちをリセットするのにも、山はちょうどいい。
まわりにも気軽に山歩きする友だちがいます。
湧き水を汲んで、おにぎりを食べて、季節の花を見つけて。
遠出しなくても、自然の中にいられる。京都の良さやなあと思います。
京都を旅する人にもおすすめなのが、
大文字山
①。あの「大」の字の上に立つ。
それだけでわくわくしませんか。
五山送り火の山の中で、唯一、だれでも登れる山。
身近な山として親しまれていて、
子ども連れ、地元の方々、
登山愛好者も多く、にぎわいます。
銀閣寺
②のそばに登り口があって、足もとは山道。すべりやすい斜面がつづき、
最近は遭難する人も増えているとのこと、
しっかりと山歩きの準備をしてどうぞ。
ゴールデンウィークに歩いてみると、
山つつじや藤の花が咲き、
鶯が高らかに鳴いていました。
さっきまで、銀閣寺観光の人ごみの中にいたのに、
たちまち山の中です。
送り火の火床
③まで40分ほど、ゆっくり歩けばもう少し。
大の字にたどり着けば、絶景が待っています。
いざ、大の字の上に立ってみると、
思いのほか広範囲で、しかも急斜面。
木々が取り払われているので、遮るものはなく、
京都が一望のもと。
石段で上から下まで歩けるのですが、
こわがりの私は上り下りにおしりがむずむずします。
送り火があるのは、お盆を締めくくる、8月16日。
お盆に帰ってきはったご先祖様をお見送りし、
無病息災を祈願します。
このとき登れるのは関係者のみ。
大の字の真ん中に、弘法大師堂。
火床は、75基。
大の字の一画80m、二画160m、三画120m。
急斜面にある70基の火床、
ひとつひとつに薪を積み、
暗闇に包まれた午後7時に点火。
いかにたいへんなことか、
ここに身を置くとよくわかり、
ありがたさに、じんとします。
帰り道、白川通から見上げれば、くっきりと大の字。
あそこにいたのかと思うと、
なんだか大きなことを成し遂げたようでうれしく、
また登ろうと思うのです。
どのあたりに住んでいるかで、
親しみのある山はそれぞれ違っていて、
わたしが子どもの頃、よく登ったのは、
伏見稲荷大社
④のある、稲荷山
⑤。鳥居が延々と続き、お社がいくつもあって、
木漏れ日の中で見る、苔や羊歯の緑の美しいこと。
ひと休みできる茶屋もあって、
湧き水でゆでたゆで玉子を食べるのが好き。
ぜひお参りしながら、
ぐるりと稲荷山をめぐってみてください。
7月31日夜から8月1日の早朝にかけて、
火の用心のお札をいただきに
多くの人が登る、
愛宕山
⑥。義経と天狗の伝説で知られる、
鞍馬山
⑦……。ほかにもさまざま名のある山があって、
その多くに神様、仏様がまつられる、
山は古くからの祈りの場、修行の場でもあります。
街のそばにあって、いつも山は清らか。
京都に来たなら、山を歩いてみるのも、いいものです。
京のおやつ
大好きな甘味処で、足休め。
甘いもん好きには、ここ!というご贔屓の甘味処があるもの。わたしの場合、あんみつなら「月ヶ瀬」、かき氷なら下鴨神社の「さるや」、桂の「中村軒」も好き。そして、銀閣寺あたりまで来たら、「㐂み家」の豆かん。赤えんどう豆が豆らしく、寒天、黒みつとバランス良く、さっぱりとキレ良く、おいしい。バニラアイスとあんののった、まる豆かんがお気に入りです。夏はかき氷、冬はぜんざいや白味噌雑煮もあってなやましいけれど、結局、いずれにしても豆かんは食べてしまうのでした。
著者プロフィール
宮下亜紀(みやした・あき)
京都に暮らす、編集者、ライター。
出版社にて女性誌や情報誌を編集したのち、生まれ育った京都を拠点に活動。「はじめまして京都」(共著)のほか、「イノダアキオさんのコーヒーがおいしい理由」(イノダコーヒ三条店初代店長 猪田彰郎著)、「絵本といっしょにまっすぐまっすぐ」(メリーゴーランド京都店長 鈴木潤著、共にアノニマ・スタジオ)、「雑貨店おやつへようこそ 小さなお店のつくり方つづけ方」(トノイケミキ著、西日本出版社)など、京都の暮らしから芽生えた書籍や雑誌の編集を手がける。
www.instagram.com/miyanlife/
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