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ダッチオーブンで野外料理


 重く黒光りした鉄の蓋。そいつを落としてしまわないよう、注意して開ける。じゅうぅぅぅぅうと蓋に付いていた水滴が落ち、よく焼けた鶏の香ばしい匂いが鼻を突く。見事に焼けた丸鶏。スッと箸を入れるだけで肉がほぐれる。信じられない柔らかさだ。おごそかに皿に取り分ける。しっとりと焼けた皮、適度に脂が抜けたジューシィな肉がなんとも旨い。軟骨や骨まわりの肉など、普段では食べることが出来ない部位も堪能する。きれいに洗った丸鶏を鉄鍋に放り込んで約2時間。じっくり蒸し焼きにした鶏がこんなに旨いとは。
 肉を堪能してからのお楽しみはスープ作りだ。鍋底に溜まった鶏のエキスと脂に湯を足し、歯でこそげた骨と叩き潰した生姜を放り込み、強火で1時間。葱を散らせば驚くほど旨いスープの完成。
 この鉄鍋、今ではよく知れた「ダッチオーブン」。鉄の鋳物、すなわち分厚い鋳鉄で出来た真っ黒な「鍋」だ。大学生の頃から20年以上も愛用している。大阪心斎橋のアウトドアショップへ、地下鉄に乗って友だちと二人で買いに行き、重たい思いをして帰ったことも今となっては懐かしい。
 西部映画でジョン・ウェインあたりが、塩漬けの豚肉と豆を放り込んで焚き火で煮ていたのに憧れ、「大切に育てたブラックポッドは子ではなく孫に引き継がれていく」という売り文句に憧れ、この鉄鍋をまだ見ぬ孫に引き継がせるべく(勝手に)育てている。
 どんなに荒っぽい料理をしても大して失敗をしない魔法の鉄鍋。この秋冬、鉄鍋を持ちだしてキャンプをするのも一興。ダッチオーブンで美味しい料理が出来れば、作ったお父さんが、子どもや奥さんから羨望の眼差しを受けることは必至だ。続きは本編で。




竹本大輔(たけもと・だいすけ)

1973年生まれ。大阪市阿倍野区西田辺町で生まれ育つ。幼少の頃は「三度の飯よりも昆虫好き」。山に川に海に出かけては、捕虫網を振り回している子ども。小5の時に、友だちとふたりで出かけた山中での初めての野宿に感動、それ以来キャンプは生活の一部になる。大学生の時は、YMCAでキャンプリーダーとして子どもたちとのキャンプに明け暮れ、現在は自分の家族や友人とキャンプという、今も昔も変わらない趣味。現在は愛知県名古屋市在住。妻と子ども3人(小5女の子、小2男の子、2歳女の子)の5人家族。「付き合ってあげよっか」というノリで私の趣味に付き合ってくれる理解ある家族。
 仕事は、冷温水機能のついたウォーターサーバーと天然水ボトルを宅配する会社。ブランド名は「アクアセレクト」。三重県の伊勢神宮ゆかりの天然水を届けている。ウォーターサーバーの宅配を通じて「田舎と都会を結ぶ架け橋」をスローガンに、都市部のお客様を採水地である田舎部へお連れするということも年間を通し行っている。その中でたくさんのご家族と天然水の採水地を訪れ、「自然に親しむということとはどういうことなんだろう」と別の視点からも考えるように。
 春は野草観察、山菜採り、家庭菜園。梅雨になれば梅干し、梅酒つくり、そしてカブトムシ捕り。夏には、夜の川に潜りウナギ捕り。海に出てはカヤックやヨット。秋には木の実を探し歩き、登山を楽しむ。冬には雪山登山やスキー。まだまだ子どもが一緒に楽しめないものもあるが、一年を通してアウトドアライフを楽しんでいる。



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