<<連載もくじ はじめに>>
キャンプでのトラブル対処術
キャンプで遭遇する大変な目、にはどんなことがあるだろう?ぼく自身の経験から「三大トラブル」を挙げたい。
1.天気が悪いとき
まず風雨で困るのが「テント設営」。この解決法の一番は「風雨の強い時に無理にテントを設営しようとしない」ということ。そして「水はけの良い土地にテントを設営する」ことがキモだ。もし複数の区画から選べるのなら、より高い位置にある区画を選ぶと良いだろう。
設営は少し雨脚が弱まってから行う、というのが鉄則だ。また水はけを良くするためにスコップがあればテントの周りに溝を掘るというのも良い方法だ。ただその場合でも「水はけが元々良い土地」を前提とすること。テントは上からの雨漏れよりも下から染みてくることのほうが圧倒的に多いからだ。そしてテントはやはり山岳用の防水のしっかりしたもの、耐風性の高いものがやはり安心。長く使えるので出来るだけ高品質なものを買い揃えよう。
撤収についてのアドバイスとして、悪天候時には大きめのゴミ袋を数枚用意しておくことをお勧めしたい。濡れたテントやシュラフなど付属のスタッフバッグ入れるのは至難の業。とにかくゴミ袋に突っ込んで持って帰る。そしてしっかりと干しておこう。ついでながらテントなどはすぐにカビが生えてしまう。帰ったらすぐ干す、というのもポイントだ。
急に悪天候になった場合、そこからテントを撤収し避難となると、全身ずぶ濡れになり体が冷えて眠れないなどの2次被害は間違いない。ここは覚悟を決めてじっと天候回復を待つことがポイント。一晩くらいすごい雨で寝れなかった、などは良い経験になるはずだ。
2.寒いとき
「初めてのキャンプで寒くて眠れなかった」という話をよく聞く。標高にもよるが、キャンプというのはどの季節も寒いものと理解しておくとよい。我が家では5月から6月くらいまでのキャンプには真冬の装備であるダウンジャケットを持っていくようにしている。盛夏のキャンプでもフリースやセーターは必須だ。
寒さが一番こたえるのは行動時よりも就寝時。実は「寒さ」というのは、「底冷え」という言葉もあるように底(下部)から来るものだ。だからどんなに高級な寝袋を用意してもテントの底部分の防寒が貧弱だと、寒い。ここを十分注意すれば寒さはグッと和らぐ。我が家では、銀マット→ござ→就寝用マットという3重の敷物だ。こういった敷物が用意できない時は、梱包用のプチプチや新聞紙、ダンボールといった敷物も有効だ。
それ以外にも、首筋にタオルを巻いて保温すること、寝袋をしっかりと頭まで被りドローコードを締めることなども有効な手段だ。足先が寒ければ靴下を2重に履き、ザックを寝袋の上から履く。また衣服の間に新聞紙を挟む(これが意外と暖かい)といった登山技術も有効だろう。できれば寝袋はしっかりした保温性の高いもの、マミー型(ミイラのような形のもの)を買い揃えよう。
3.料理が失敗したとき
調理の失敗原因は「火がおこせない」と「調理そのものが失敗」という2つに大別される。木が濡れていたり湿っていたりすると、火が付きにくい。こういう時は、油分の多いスギやヒノキといった針葉樹の葉や小枝から燃やしていこう。一方、広葉樹は火付けしにくいが、長く燃えてくれる、という特性を持つ。このあたりの「木の種類」を理解し、使い分けができれば、悪条件下での火おこしも簡単に行える。
そして調理そのものの失敗をどう防ぐかだが、これについては日ごろの鍛錬が欠かせない。お父さんも普段から積極的に調理をしておこう。
失敗してしまったとしても、大切な食材を無駄にしないための工夫はいろいろとできる。たとえばお米の芯が残ったまま、などの調理の失敗もよくあるだろう。その時は日本酒を少し入れて炊き直すなどのリカバリー方法が必ずあるはずだ。スープが塩辛すぎた、であればそのスープを薄める。焦げた、であればその焦げた部分だけ丁寧に切り取って食べる。出来るだけ失敗した料理をどうリカバリーするか、を考えて実行するのもキャンプの楽しみ。ただ子どもたちの突然の「お腹減ったー!」のためにも早ゆでパスタやお米を余分に持っておくなどの準備もあってもいい。我が家ではパスタやお米が必ず余るように多めに持っていく。
本当に生命に危険が及ぶトラブルが一つある。テントの中での煮炊きや、炭による暖房を使う場合の「一酸化炭素中毒」だ。テントといえど、閉めきった空間でのコンロや炭の使用は絶対にしないこと。そういった事故もあとを絶たない。雪山登山ではないのなら、テント内での火気使用は控えよう。煮炊きはかならずテントの外やテント前室の中で行い、火を使っていないにしても、テント換気口は開けておき、十分注意すること。
【さいごに】
三大トラブルの対処法を挙げたが、今でも記憶に残っているキャンプは、こうしたトラブルに巻き込まれたキャンプだった。
ぼく自身はものすごい「晴れ男(自称)」なのだが、実に相性の悪い友だちというのが一人いて、彼も自分自身を「晴れ男」と称して憚らないのだが、そいつとキャンプに出かけると必ず天気が悪い。これまで暴風雨や雷になったことも多かった。先日、それぞれの家族でスキーに行こうということになったのだが、2月の信州、標高2,000mにもかかわらず、雪ではなく大雨となった。小学1年のときからの付き合いだからとお互い諦めている。テントで沈殿している時の子どもとの会話、雨の中の煙たい火おこし、雨具を着て寒い川に入りイモリを捕まえたこと・・・こういう過酷な状況下でのキャンプはのちのち良い思い出になっている。ぜひこういった時のキャンプこそ、みなさんの工夫と知恵でそのトラブル自体を楽しんで欲しい。
「初めてのキャンプで寒くて眠れなかった」という話をよく聞く。標高にもよるが、キャンプというのはどの季節も寒いものと理解しておくとよい。我が家では5月から6月くらいまでのキャンプには真冬の装備であるダウンジャケットを持っていくようにしている。盛夏のキャンプでもフリースやセーターは必須だ。
寒さが一番こたえるのは行動時よりも就寝時。実は「寒さ」というのは、「底冷え」という言葉もあるように底(下部)から来るものだ。だからどんなに高級な寝袋を用意してもテントの底部分の防寒が貧弱だと、寒い。ここを十分注意すれば寒さはグッと和らぐ。我が家では、銀マット→ござ→就寝用マットという3重の敷物だ。こういった敷物が用意できない時は、梱包用のプチプチや新聞紙、ダンボールといった敷物も有効だ。
それ以外にも、首筋にタオルを巻いて保温すること、寝袋をしっかりと頭まで被りドローコードを締めることなども有効な手段だ。足先が寒ければ靴下を2重に履き、ザックを寝袋の上から履く。また衣服の間に新聞紙を挟む(これが意外と暖かい)といった登山技術も有効だろう。できれば寝袋はしっかりした保温性の高いもの、マミー型(ミイラのような形のもの)を買い揃えよう。
3.料理が失敗したとき
調理の失敗原因は「火がおこせない」と「調理そのものが失敗」という2つに大別される。木が濡れていたり湿っていたりすると、火が付きにくい。こういう時は、油分の多いスギやヒノキといった針葉樹の葉や小枝から燃やしていこう。一方、広葉樹は火付けしにくいが、長く燃えてくれる、という特性を持つ。このあたりの「木の種類」を理解し、使い分けができれば、悪条件下での火おこしも簡単に行える。
そして調理そのものの失敗をどう防ぐかだが、これについては日ごろの鍛錬が欠かせない。お父さんも普段から積極的に調理をしておこう。
失敗してしまったとしても、大切な食材を無駄にしないための工夫はいろいろとできる。たとえばお米の芯が残ったまま、などの調理の失敗もよくあるだろう。その時は日本酒を少し入れて炊き直すなどのリカバリー方法が必ずあるはずだ。スープが塩辛すぎた、であればそのスープを薄める。焦げた、であればその焦げた部分だけ丁寧に切り取って食べる。出来るだけ失敗した料理をどうリカバリーするか、を考えて実行するのもキャンプの楽しみ。ただ子どもたちの突然の「お腹減ったー!」のためにも早ゆでパスタやお米を余分に持っておくなどの準備もあってもいい。我が家ではパスタやお米が必ず余るように多めに持っていく。
本当に生命に危険が及ぶトラブルが一つある。テントの中での煮炊きや、炭による暖房を使う場合の「一酸化炭素中毒」だ。テントといえど、閉めきった空間でのコンロや炭の使用は絶対にしないこと。そういった事故もあとを絶たない。雪山登山ではないのなら、テント内での火気使用は控えよう。煮炊きはかならずテントの外やテント前室の中で行い、火を使っていないにしても、テント換気口は開けておき、十分注意すること。
【さいごに】
三大トラブルの対処法を挙げたが、今でも記憶に残っているキャンプは、こうしたトラブルに巻き込まれたキャンプだった。
ぼく自身はものすごい「晴れ男(自称)」なのだが、実に相性の悪い友だちというのが一人いて、彼も自分自身を「晴れ男」と称して憚らないのだが、そいつとキャンプに出かけると必ず天気が悪い。これまで暴風雨や雷になったことも多かった。先日、それぞれの家族でスキーに行こうということになったのだが、2月の信州、標高2,000mにもかかわらず、雪ではなく大雨となった。小学1年のときからの付き合いだからとお互い諦めている。テントで沈殿している時の子どもとの会話、雨の中の煙たい火おこし、雨具を着て寒い川に入りイモリを捕まえたこと・・・こういう過酷な状況下でのキャンプはのちのち良い思い出になっている。ぜひこういった時のキャンプこそ、みなさんの工夫と知恵でそのトラブル自体を楽しんで欲しい。