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手工芸で栄えたこの街は
現在は芸術の街ということになっているらしい。
芸術大学があり、街の至る所に民芸品や細工品の店が並び、
大きな民芸品市場もある。
拗ねて「こんなところに来る理由はあったっけ?」なんて言ったけど
民芸品には目がないのであった。



驚いたことに旧市街の中心から東側で見かける多くの人は北米人だった。
英語記載の不動産屋まである。
どうやら東側の高台にある瀟洒なコロニアル調の建物を買い取って
(或るいは借りているのかもしれない)隠居生活をしているらしい。
そういえば、カーサ・ズニーガで一緒だった人も
冬はメキシコで過ごしているのだと言っていた。



美しい建物と美しい花々と
張り巡らされた有刺鉄線と鋭く天を刺すガラスの破片。
彼らは全く陽気に、そして優雅に悪気無く
小さなこの街で自分たちの主張を通すのだった。



パンにはバターがなくちゃね。
煮豆は嫌い。辛いのは嫌い。
スペイン語なんてまっぴらごめん。
タイライスが食べたい!


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