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tabihitotsu
淡いピンクのスーツのご婦人をゆったりとエスコートするおじいちゃん。
桃色の夕映えが過ぎる頃、ふわりふわり、浮かぶようにカンテラの明かりが灯る。
周辺のカフェは蝋燭を灯して夜の営業の準備をはじめる。
日本人の男女が夢中になってダンスの様子をカメラに収めていた。良い顔をしている。




夜9時半を回るというころ、教会前の小さな広場で
エストゥディアンティーナと呼ばれる楽団の歌とコントがはじまる。
この歌というのが実に朗々と楽しげで、
(だいたい彼らの歌うセレナータのメロディーそのものが陽気だ。)
声は太く長く伸びて広がり、あちこちの壁に当たって反響し、
より一層太くなり長くなり、体全体に響いてくる。なんだか良い気持ち。
手拍子から始まり歌は歌を呼んで、
しまいにはジェンカを踊るみたいに掌と肩で繋がって楽団の後を追って、
細い路地へと繰り出してゆく。この時点で時刻は夜の10時を回っている。


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