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葬列はサンフランシスコ通りを西へ西へ進み、ラ・コンセプション教会の前を通って
カサテロス通りを南に進んだ。大通りを渡り、いくつかの高級リゾートホテルを過ぎ、
最後のホテルの先で止まった。

   青色の塀でかこまれた墓地だった。
   鼓笛隊の音が止むと辺りはしんと静かになった。
   人々は白いアーチをくぐり塀の中へ入ってゆく。鼓笛隊は殿(しんがり)。



二人きりで道を戻る。
街の人が死んだら、 いつでもこうやって送るのだろうか。

相変わらず気が遠くなってしまうほど埃っぽい。
日も暮れてしまった。
もう、民芸品市場には間に合わない。

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リゾートホテルの白い壁の前に埃まみれの若い女の人が座っている。
片手で赤ん坊を抱いている。 市場で使うために小分けに持っていたお金を
もう一方の手が握りしめているプラスチックのコップに出来るだけ丁寧に入れる。


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