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そして朝が来た。
6時の鐘のあと、屋上へでてみる。

夜明けには未だ早く空には沢山の星。
街にはほんのりと暖かいカンテラの明かり。
上を見ても下をみてもキラキラ瞬いている。



宿の裏口から外へ出る。

昨日とおなじ家の前に今日のあたらしい犬のうんこが落ちている。
隣の家の扉の前で昨日と同じ犬がうなだれている。
おまえは、自由に動き回れる身分だというのにどうしてそんな目をしてる?

犬の心はなんでこんなに人間みたいなのだろう。

   犬、唐突にたちあがり後ずさりする。
   家の扉がバタッと開き肉片が二つ、ぴゅーと飛んできてぺちゃりと落ちた。
   犬、視線を一瞬むける。そして石畳にはりついた肉を食っている。




急坂の石畳を歩いていると風に乗って猫のおしっこの匂い。
方々から生活の音と匂い。この感じって尾道とか長崎みたい。
そしてたいてい○○地獄坂なんて名前がついてるんだよね。

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