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  味気のない地面の上に土産物売りのおじさんが、
背丈よりもうんと長い織物をサパーっと広げた。
大きく、聖人の絵が織られている。胸がドキドキとした。
青空土産物店のはじまりはじまり。

        店主はだれも、つばが傘みたいに大きな麦わら帽子をかぶっている。







tabihitotsu



だだ広い中に人間がいるのだった。
ちょこんといるのだった。
それはもう、泣けちゃうくらいに小さい。

人間は心細さを補うように 
明るくて元気な色を身に纏うのだろうかな。








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