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乗り換え。降り際におじさんが笑いかけてくれる。 口はにっこりしているんだけど、ほっぺたから上が 笑い方を知らないみたいに固まっていた。 あれは果たして笑っていたのか? 謎。 長い地下道を歩いて移動。
今度の電車も混んでいる。そして、大きく揺れる。 おっとっとっと、と腹筋に力をいれていると、 おばさんが、「ここにつかまりなさい」と手すりのスペースを空けてくれた。 お礼を言ってちょこっとつかまると、 「もっとちゃんとつかまりなさい」と私の手をぐいっと引き寄せて しっかりと手すりをつかませると、小さく笑ってあとは暗い窓の外を見ている。
親切にしてもらったとき、とっさに、違う注意を払ってしまうのを ちゃんとわかっているみたいだった。ただ、転ばないように、、それだけよ。