title/hyoutan

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 週に一度、夫がベランダで水を換えます。いろいろなことが、すこしずつ昔とは違う。もう私では、重たくて甲羅がつかめないのです。ベランダを行き来する姿は以前より元気に感じるほどですが、甲羅の脱皮が自然にできなくなっているところを見ると、代謝が悪くなっているのです。剥がすのを手伝っていると、年を取ったのだなあとしみじみ思います。

 長きに渡るブランクを経て、また淡々と、同じ相手に向き合うということ(まあ、相手はみどりがめですけど)。でも、これもかれらが長寿のお陰と、ある意味、自分の鏡を見ているように不思議な気分になるのです。


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今 回 の 花 「 ガイミヤリリー 」

ひとの背丈ほどもある南国の大輪は、オーストラリア原産。
石垣島南部でも栽培されていますが、なかなかお目にかかれない希少種です。
緑の深海に浮かび上がる花びらの一枚一枚は鳥の羽のようにも見えます。

花/吉田耕治[小路苑] 写真/青木倫紀


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