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かぞくのブリコラージュ~自分たちで暮らしを作る、日常の発明記~かぞくのブリコラージュ~自分たちで暮らしを作る、日常の発明記~

文・写真・題字/中村家


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チャプター2

その1 ブリコラ家族のキッチン




 ブリコラでつくったものたちはその後、どうやって使われきたのか、使われているのか。我が家の台所の現在と共に紹介します。




 ブリコラージュその5で作った「フィソロフィーストッカー」がそびえたつ、我が家の台所。おおげさではなく、そびえたっています。
 もともと別荘だった家なので天井が高いのですが、その天井に届く高さのストッカー。上の段のものはなかなかの取り出しにくさ。わたしには手が届きません。なので、MITOSAYAのスペシャルなフルーツブランデーを並べています。お酒はあまり嗜まない我が家ですが、友人家族が作っているMITOSAYAのお酒はパッケージやデザイン、素材選びがすてきでコレクションのように並べて満足しているのです。時々遊びにきたお友達にふるまうと、とても喜んでもらえます。




 3段目には自家製のジュースシロップの瓶を。こちらも高いので飲む時は踏み台に乗ってとっています。踏み台にのれば、手が届く高さ。重いし、取り出しにくいし、シロップは3段目に置くべきものではない気もしますが、なぜか3段目に自家製ジュースシロップ、と決まっているのです。瓶が倒れてこないように、意味があるのかは定かではないけどいちおう柵もついています。
 2021年の夏に、ここに並べていたスモモのシロップが発酵して爆発。瓶が粉々に砕け台所~居間中に飛び散るという悲劇の歴史も刻まれました。
 一番下の棚にはパスタや小麦粉などの粉物を。娘がお菓子を作るので、粉物は取り出しやすいよう下段に置いています。






 4段目は黒板になっています。今年の6月に書き換えました。我が家の台所の哲学(フィソロフィー)「NO PLASTICS」の文字と魚の絵を息子が書いてくれました。
 ノープラスチック。なかなか達成が難しい課題ですが、こうして目につくところに書いてあることで日々意識は忘れずに。
 下からの4段は量り売りで買った瓶の食材を並べています。
 その10「秋のあきのアフタヌーンティー」で作った木のティーテーブルもいつのまにかストック瓶置き場となってる…。ちなみ同時につくった木製巨大カトラリーは、息子が友人とのごっこ遊びで槍として活躍しております。




 ブリコラージュと銘打って始める前から日々の暮らしと家の改装がイコールだった我が家。台所は引っ越してきて最初に改装した場所です。古いシステムキッチンの扉を全部外して、好みの色に塗り替え、取手も全部つけ替えました。
 環境意識などはまだ低かったので(7年前)、塗料はフツーにスプレー缶のもの。取手は夫が「ドイツっぽいデザインが気に入った」、と選んだIKEAのものです。




 塩化ビニールだった床をタイルに張り替えたのも、引っ越してまっさきにしたこと。台所の床がタイル、というのは10年前くらいから憧れていたので念願だったのですが、塩ビの床のあちこちに床下収納があり、微妙なでこぼこをフラットにしてからタイルを貼る、という重要な工程をすっとばして貼ったため、タイルのあちこちが剥がれる、剥がれる…。剥がれたタイルをボンドで貼る、というのが習慣化していて、地味にストレスです。ボンドはキッチンの棚の中に常備されています。







 台所のフィソロフィーにのっとって、プラスチックのものは減らしています。かわりにとりいれたモノたちが台所の中で存在感を発揮。シュロやへちまのたわし、スタンド付きさらし、みつろうラップ、ガラスのストロー、コットン製のバッグたち。パン専用のパンバッグも。コンポストにいれる野菜くずなどはホーローバケツにいれてあります。






 棚の中のひみつの鞄。ここには表立っては見せたくない、言いたくないものが主に入っています。今だったら、先日の十五夜に地域で開催された「お月見ください」という名の和製ハロウィンで、娘と息子がしこたまもらってきた駄菓子やお菓子が入れられた袋など…。そのほか自分だけでこっそり食べようと買ったチョコを奥のほうに隠してあったり、台所のフィソロフィーとは真逆のプラスチックに包まれたあれこれたちもしまってあります。扉をひらくたび、自分も見たくない、言いたくない、矛盾や課題に直面する扉ともいえます。悩ましいですが、毎日目にし、毎日少しずつ考える。それを続けたいと思います。


これからしたいこと
剥がれるタイル問題にいつか重い腰をあげて着手したいものです。
床の全面張り替えとなってしまいそうなので、いつか…。



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中村俵太(ひょうた(父/夫)

「HYOTA」として空間デザインを生業にしつつ、中村家のあらゆる『家族』活動のディレクター的立ち位置も。決断力と実行力はあるけど計画や段取りは非常に苦手。人見知り。日本生まれ日本育ちなのに日本語がおかしい。極めて楽天的でポジティブ。家族愛は強いがピントがいつもややずれがち。

中村暁野(あきの(母/妻)

家族や生活をテーマに執筆活動を行なっている。理想を追って突っ走りがち。でもその突っ走りによって人生動かしてきたという自負もあるので、引き続き突っ走る気まんまん。ブリコラ生活の果て2021年夏「家族と一年商店」がオープンし小商店主という予想だにしていなかった人生展開もスタート中。

中村花種(かたね(娘)

繊細で敏感な子ども時代を経て、現在爆発的パワーで家族を圧倒する思春期入り口の13歳。極度の内弁慶だったけれど藤野暮らしの中で壁を越え、自分の世界を築こうと成長中。現在両親のやることなすこと、言うことスベテが気に入らない反抗期真っ只中。

中村樹根(じゅね(息子)

マイペースでごきげんな6歳児。人類みな友達的オープンマインド。恐竜がだいすきで1日の半分、心は恐竜の世界へ。甘いもの大好き。虫歯になりがち。姉とはトムとジェリーのような関係。

バター(うさぎ)

花種さんの膝に飛び乗るすきを常に伺っていた、アメリカンファジーロップのオス。2022年の3月、天国へ...。花種さんの部屋の前の、ユスラウメの木の下に眠っている。



家族カレンダー

中村暁野
定価 1760円(本体価格1600円)
ひとつの家族を自身の家族で取材して制作する雑誌『家族と一年誌 家族』編集長である著者による初めての自著。ブログに綴った5年の間には、たくさんの幸せな日とそうでない日とがありました。「家族」を通して自分と社会に向き合い続けた実験の記録。一日々々のかけがえのなさを感じられる一冊です。


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