アノニマ・スタジオWeb連載TOP > 暮らしのなかのSDGs もくじ > その12 コンポスト、いろいろ。【眞坂治子さん編】
イラスト/江夏潤一
その12
コンポスト、いろいろ。
【眞坂治子さん編】
コンポストを始めるきっかけは、人によってさまざまです。
野菜作りや土に関心を持ったことでコンポストを始める方もいれば、ごみを減らすことを目的に取り入れている方もいます。コンポストがもたらすメリットは、どんなものがあるのでしょうか。
今回は、SDGsを伝えるフリーペーパー「エシカル、ここから」の制作とウェブサイト「Ethicala」を運営する眞坂治子さんお話を伺いました。
日常のなかに「循環」を
Ethicala
5年前に愛知から岐阜へ移住した眞坂さん。ごみを減らす目的で、一昨年の春にまずは自宅の庭に一つ目のコンポストを設置しました。家庭菜園を始めたのは一昨年の秋ごろから。「収穫したての新鮮な野菜が食べられるから」程度の考えで始めたものの、SDGsを知るにつれ、菜園と家庭内での循環を成立させることで、環境負荷を低減できると感じるようになっていったといいます。「コンポストによる堆肥での土壌改良を期待して、化成肥料はほぼ使用しません。野菜は小さめだったり収穫量が少なかったりしますが、何よりも安心安全。それに、野菜の花って案外綺麗なんですよ」。
「私の場合、虫やにおいでの失敗が起きると続けられなくなると思い、発酵促進剤や防虫消臭剤なども取り入れつつ慎重な方法を取っています。発酵を促すためには籾殻や米ぬか、消臭には乾燥させたコーヒーかすを入れるのも良いですよ。防虫については、堆肥化することもふまえ化学薬品の使用は避け、コンポストの本体と蓋の間に目の細かいネットをかけるなどの対策も有効です」。使う過程で試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの使用方法を実験しています。
難しく考えない。
コンポストを設置して以来、目に見えてごみの量が減っていったことで、家族全体が「もっと減らすためには?」「これもコンポストで処理できるかも?」などと、ごみに対する意識が高まっていきました。SDGsには、個人レベルでは不可能に感じてしまう目標があるのも事実。だからこそ、暮らしのなかで実践できることがあれば、取り入れやすい形にして伝えていくことが大切だと眞坂さんは話します。
「日本において、高度成長を迎えた経済の裏側で隠れて広がっていた環境破壊は、私たちやその時代を生きた世代が真剣に向き合わなければいけない問題。にもかかわらず、真摯に向き合っているのは若い世代の方が多い印象です。国や世界にとって一番大切にしなければいけない子どもたちが、この先安心して生活のできる地球にするために、今、ここで起こさなければいけないアクションを集約したものがSDGsだと考えています」。
野菜作りや土に関心を持ったことでコンポストを始める方もいれば、ごみを減らすことを目的に取り入れている方もいます。コンポストがもたらすメリットは、どんなものがあるのでしょうか。
今回は、SDGsを伝えるフリーペーパー「エシカル、ここから」の制作とウェブサイト「Ethicala」を運営する眞坂治子さんお話を伺いました。
日常のなかに「循環」を
家族でシェアするSDGs
Ethicala
眞坂治子さん
家庭での生ごみが劇的に削減!
「コンポストを始めたことで、生ごみがどれだけ我が家のごみの割合を占めていたのかを知れたのは良い経験でした。他のごみを減らす意識もしていたものの、以前は必ず週2回出していた可燃ごみが、今では2週間に1回出すか出さないか程度に減りました。1袋の量も格段に少なくなっています」。5年前に愛知から岐阜へ移住した眞坂さん。ごみを減らす目的で、一昨年の春にまずは自宅の庭に一つ目のコンポストを設置しました。家庭菜園を始めたのは一昨年の秋ごろから。「収穫したての新鮮な野菜が食べられるから」程度の考えで始めたものの、SDGsを知るにつれ、菜園と家庭内での循環を成立させることで、環境負荷を低減できると感じるようになっていったといいます。「コンポストによる堆肥での土壌改良を期待して、化成肥料はほぼ使用しません。野菜は小さめだったり収穫量が少なかったりしますが、何よりも安心安全。それに、野菜の花って案外綺麗なんですよ」。
家庭菜園がもたらす無形の恵み
眞坂さんの菜園は少量多品種で、野菜やハーブを中心に60品種以上。家族が育てたい野菜を自分たちで選んでいます。家庭菜園を始めたことで、暮らしにはあらゆる変化が表れました。「共同作業のおかげで家族との会話が増え、連帯感が強まりました。ご近所の方とも会話する機会が自然と増えて、移住先にも愛着が持てるようになってきた気がします」。始めたばかりの頃は、地道な作業が億劫になることもあったけれど、今では気分転換や精神衛生を保つための大切な手段に。そのほかには、スーパーでの買い物の頻度が減ったことで、トレーや袋などのプラスチック製品も大幅に減り、結果としてフードマイレージだけでなく、プラごみの削減にも。安心で安全な方法で栽培できるうえ、食費の負担も軽くなるので、良いこと尽くめです。暮らしに合わせて選ぶコンポスト
一家庭、一個人ごとにライフスタイルが違うのは当然のこと。コンポストは、自分の暮らしの環境にあわせて選ぶことができます。庭や畑がある人であれば埋め込み式、質の良い堆肥を作りたいならミミズ式、マンションやアパートなど集合住宅に住む人であれば、ベランダでも使えるタイプのものや、室内に設置できる生ごみ処理機などと種類もいろいろ。「私の場合、虫やにおいでの失敗が起きると続けられなくなると思い、発酵促進剤や防虫消臭剤なども取り入れつつ慎重な方法を取っています。発酵を促すためには籾殻や米ぬか、消臭には乾燥させたコーヒーかすを入れるのも良いですよ。防虫については、堆肥化することもふまえ化学薬品の使用は避け、コンポストの本体と蓋の間に目の細かいネットをかけるなどの対策も有効です」。使う過程で試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの使用方法を実験しています。
■フリーペーパー「エシカル、ここから Vol.5」2021年夏号
今回のテーマは「生ゴミを自然に還す」。コンポスト特集、ぜひごらんください。
→詳細はこちら
難しく考えない。
でも真剣に向き合う
コンポストを設置して以来、目に見えてごみの量が減っていったことで、家族全体が「もっと減らすためには?」「これもコンポストで処理できるかも?」などと、ごみに対する意識が高まっていきました。SDGsには、個人レベルでは不可能に感じてしまう目標があるのも事実。だからこそ、暮らしのなかで実践できることがあれば、取り入れやすい形にして伝えていくことが大切だと眞坂さんは話します。「日本において、高度成長を迎えた経済の裏側で隠れて広がっていた環境破壊は、私たちやその時代を生きた世代が真剣に向き合わなければいけない問題。にもかかわらず、真摯に向き合っているのは若い世代の方が多い印象です。国や世界にとって一番大切にしなければいけない子どもたちが、この先安心して生活のできる地球にするために、今、ここで起こさなければいけないアクションを集約したものがSDGsだと考えています」。
写真提供:眞坂治子
Profile
眞坂治子(まさか・はるこ)
SDGsを伝えるフリーペーパー「エシカル、ここから」の制作を家族で行い、ウェブサイト「Ethicala」を運営する。フリーペーパーは、ごみの削減や食品ロスの削減、家庭でも取り入れやすいコンポストなど、実践したくなるような身近なテーマが中心。
https://ethicala.com/
<<連載もくじ はじめに >>
編/アノニマ・スタジオ
アノニマ・スタジオは、KTC中央出版の「ごはんとくらし」をテーマとしたレーベルです。食べること、住まうこと、子育て、雑貨・・・暮らしを少し豊かにしてくれる生活書を中心に、本づくりやイベントを行っています。
暮らしのなかのSDGs
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編/アノニマ・スタジオ定価 1650円(本体価格1500円)
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