ミシンで縫う、リメイクニット


子どもを授かることができたら、
大きいお腹をさすりながら、はたまた
傍にいる赤ちゃんを眺めながら、
のんびりと編み物をする、
というのが夢の一つでした。

でも実際には、
しばらく仕事ができないだろうと
ついついたくさん引き受けてしまい、
大きいお腹で産まれる3日前まで仕事をし、
産まれてからは慣れない育児で、毎日がてんやわんや。
のんびり編み物、なんて夢のまた夢でした。

それでも冬に入り、寒くなってくると
小さな息子に、かわいい手袋や
あたたかな帽子を作ってあげたいと
思うようになりました。

編んであげたい、
けれど冬が終わるまでに、
完成する気もしない。

ならば、縫ってみよう!
と思い立ちました。
ミシンで縫うだけなら、
息子が昼寝している間にできるかもしれません。

見渡してみると、ニットやマフラーなど
あまり使わなくなったものが結構ありました。



2枚合わせになっていた私のマフラーは、
息子の頭の大きさをおおよそ測って、筒状に裁断し、
先をすぼめれば、帽子に。

次に、息子の手形からおおよそのサイズを裁断し、
周囲を縫ってひっくり返せば、手袋に。
手首の周りにゴムを入れ、
鎖編みした毛糸で繋げれば、
それらしくなりました。



間違って洗濯してしまい、
縮んでしまったじいじのセーターは、
袖を落とし、首回りは利用して、
脇や肩を縫いこんで、ベストに。

そのままではシンプルすぎたので、
じいじのマフラーも縫い合わせました。



見よう見真似で作ったので、
袖ぐりの大きさが違うのはご愛嬌。

ちなみに落とした袖は、
「リメイク袖パンツ」の方法で、袖パンツにしました。
ヨレヨレニットの袖パンツは、
寒い日のズボン下として大活躍しました。



ひいじいじの赤いセーターは、
首回りを利用し、
袖や脇を縫い込みリサイズして、
小さなセーターに。
チクチクしないよう、
首回りの内側にはガーゼを縫いつけました。






あたたかなセーターになりました。
下に合わせた柄物のパンツは、もちろん袖パンツです。

また、余ったセーターの身頃の下部は、
息子のお腹まわりのサイズにおおよそ合わせて、
縁をほつれぬよう、かぎ針編みの細編みで縁取りして、
腹巻きに。



これぐらいの量の編み物なら、
時間がかからずにできました。

さらに、余った袖からは、帽子も作りました。
帽子の内側はフリースを縫い付けて、
暖かく、チクチクしないようにしました。



頭の先がとんがった形の帽子にしたかったので、
こちらは珍しく、いくつか型を作り、
ピタリとくるサイズを探しました。



ニット製品や小物は、編むもの、
と思いこんでいましたが、
縫ってみると、あっという間に作れ、
また、いらない服のリユースも
しやすいなと思いました。

ニットを縫うには、少しだけ準備が必要です。
ニット用のミシン針、ミシン糸(レジロンなど)を
ご用意くださいね。

いつもより細かい縫い目にし、
生地の両端を持って、
やや伸ばしながら縫うとうまくいきました。

また出来上がったら、
ミシン目にアイロンをしっかりあてると、
うまく縫えていないようでも、
落ち着くことが多いです。

ニットを縫う。
なかなか時間が取れないお母さんたちに、
おすすめしたい方法です。

ミシンでの縫いやすさを考えたら、
伸び縮みしないコットンやリネンが
一番です。

でも、ミシンでニットを縫うようになってから、
ニット生地の良さも段々とわかってきました。

私はお裁縫のプロでもなんでもなく、
下手の横好きでやっているものですから、
まっすぐ縫うのも下手だし、
仕上げがキレイとはとても言えません。

そんなコンプレックスを
ニットは優しく受け止めてくれるのです。

ニットは生地が柔らかいため、
縫い目が埋もれてしまうことが多いので、
少々曲がっても、何度か縫いなおしても、
目立たず、あまり気にならないのです。

下手っぴな私にとって、
大きな、そして嬉しい発見でした。

さらにニット生地を扱えるようになれば、
家にある洋服のほぼ全てを、リメイクできるようになります。
おかげで、ますますミシンが好きになってしまいました。

さて調子に乗って、ニット生地のものから、
息子にあたたかい洋服をどんどん作っていきました。



こちらは、旦那さんの冬物のカットソーです。
トラッドな生地が素敵で、捨てるのは惜しく、
息子の服にリメイクすることにしました。

まず袖は、定番のリメイク袖パンツに。
その頃、息子は1歳児だったので、
袖の2/3ほど使用しました。

袖が少し残ったので、
首回りとともに利用し、
脇を縫いこんで、トップスに。
(こちらの詳しい作り方は、書籍『たのしい手づくり子そだて』でご紹介しています。)

さらに身頃の下部が余ったので、
上辺を三つ折りにして、鎖編みした毛糸の紐を通し、
先にボンボンをつけ、ポンチョに。



1つのカットソーから、
3つのアイテムが出来上がり、
セットアップのようになりました。



ポンチョは、身頃の下部を利用すれば、
裾をそのまま利用でき、縫う手間が省けますよ。

赤ちゃんや幼児の頃、
ポンチョは大活躍でした。

少し冷えてきたかな?と思ったら、
抱っこ紐で抱っこしたままでも、
遊びに夢中でこちらを向いてくれなくても、
さっと頭からかぶせることができたからです。

機嫌が悪かったり、グズグズしているときは、
上着やカーディガンなどの
袖を通すのすら難しい時もあります。

でもポンチョなら、
子供がどんな状態でもさっと羽織らすことができるので、
とても重宝しました。



あたたかな生地で、高さが20センチ以上あれば、
どんなものでもポンチョになります。
幅は、子供の肩を覆うことができれば良く、
絞って調節ができるので、少々大きくても大丈夫です。



さて、実はこれらは
私の毛糸のパンツです。

あたたかそうだと買ったのですが、
履いてみると、裾のフリル部分が邪魔で、
しまいこんでいました。

股の繋がった部分を切って外し、
ウエストのゴムを抜き、正面に穴を開け、
鎖編みした毛糸の紐を通せば、
こちらもポンチョになりました。



紺色は息子に、
赤は姪っ子に
プレゼントしました。

赤ちゃんや子供たちの
大好きなボンボンをつけたことで、
息子も姪っ子も大喜び。
どちらも愛用してくれました。

もちろん息子にも姪っ子にも、
元々は私の毛糸のパンツだった!
なんてことは内緒ですよ。

編み物ももちろん楽しいものですが、
ミシンで縫えば、あたたかなニットやニット小物も
手軽に作ることができます。

あたたかな生地の古着があったら、
ぜひミシンで縫う、簡単リメイクに
挑戦してみてくださいね。


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良原リエ

音楽家。主にアコーディオンやトイピアノの鍵盤奏者。古い鍵盤楽器やトイ楽器を多数収集し、演奏する。国内外でCDをリリースする他、映画やテレビ、他アーティストのレコーディングやライブなど、様々なジャンルで演奏を残している。2012年に男児出産後は料理、庭、インテリア、子育てなど暮らしまわりが紹介されるようになり、ライフスタイル全てが活動の場に。著書に『音楽家の台所』(コノハナブックス)、『トイ楽器の本』(DU BOOKS)、『たのしい手づくり子そだて』(アノニマ・スタジオ)がある。
http://tricolife.com/


たのしい手づくり子そだて
―リメイクと遊びのアイデアブック―

良原リエ
本体価格1500円(税別)

子どもになにか手づくりしてあげたいという理想はあっても、時間や手間がかかることは難しい……。そんなおかあさんたちに、もっと手軽に気楽に手づくりを楽しんでほしいという良原リエさんの想いが込められた、実用アイデアブックです。センスが光る古着の形や素材を活かして作る簡単リメイクは、ものを大事に受け継ぐ気持ちと、手づくりの楽しさや自由さを教えてくれます。子どもとのかけがえのない時間を手づくりでいっしょに楽しむ、季節ごとの遊びも多数紹介。WEB連載に大幅に書きおろしを加えて再構成した書籍版。

◆もくじ
◎1章 Remake1 かたちを活かしたアイデア・リメイク
01 長袖Tシャツから袖パンツ/02 Tシャツからベビーパンツとスタイ/03 デニムからデニムパンツ/04 Tシャツからスモック風Tシャツ/05 1本のズボンから2本のズボン/06 Tシャツからロングワンピース/07 Tシャツからリボンキャミソール/08 ニットの袖からベビー帽子/09 シャツからお弁当包みと箸袋/10 キッチンクロスからエプロンと三角巾/11 靴下からレッグ&アームウォーマー/12 タイツやレギンスからヘアバンド/13 デニムからデニムバッグ

◎2章 Remake2 生地として活用するリユース・リメイク
01 おくるみと産着/02 バルーンパンツ/03 プレイマット/04 子どもバッグとコースター/05 ガーランドとぬいぐるみ/06 ハギレで目印/07 お昼寝ケットとクッション/08 マザーズバッグとバッグインバッグ/09 カラフルマスク/10 ミシンで縫うリメイクニット

◎3章 Handmade 子どもと一緒に手づくり遊び
01 ボンボンを飾ろう/02 好きなものスクラップブック/03 ペタペタ折り紙/04 電車の紐レール/05 木の実と花飾り/06 ハギレでリボン/07 ハギレでオーナメントとブローチ/08 お絵かきクッション/09 お絵かきこいのぼり/10 七夕の切り紙遊び/11 お誕生日の数字遊び/12 毛糸で指編み/13 クリスマスデコレーション/14 お正月飾り

◎手づくりを楽しむためのコツとポイント
揃えておきたい道具/新しい生地を使うなら/ウールのフェルト化のすすめ/何はなくともアイロン/まち針としつけ/縫い代の始末/カーブや角の縫い代の始末/バイアステープの作り方と縫い付け方/ゴムの種類と通し口の作り方/お直しのアイデア

◎コラム
どうしてリメイク?/使い道の決まらない生地は?/生地を最後まで活用しよう/子どもの好きにとことん付き合う/既製品に手を加えてみる


『たのしい手づくり子そだて』詳細ページ>

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