<< 前  目次  次 >>



かおるさんの打つ蕎麦は、いつもと変わらず、、と言いたいところだけれど
ちょっぴり年をとっていた。蕎麦打ちは力の要る仕事だもの。
これが、生きるってことだよなぁ。
ありがたく、箸をすすめる。煮物や煮びたしの味ときたら、どれも楽しい。
特に花豆の塩梅がたまらない。
お豆を煮るのはね、70からの人がうまいよって、そういうかおるさんは80歳。旦那さんが亡くなってから
10数年、4月〜11月の間、ここにいて、民宿をやっている。冬はストーブを背負って歩きたいくらい寒いそう。
「もーねー、半分、あっちがし、に、かしいでいるのよ、、かしいでいるのー」そう言って体を斜めにして
「口がさっぱりしていなかったら、これを食べて、食べて」と梅の漬けたのを勧めてくれる。
言うまでもないが、、これがまた絶品。
そうして暫く、私たちお客の相手をして奥の台所へ入ってしまう。今日はお客さんがいっぱい。



<< 前  目次  次 >>


copyright 2009 anonima studio