絵を描いていると女の子とおばさんがやってきて隣に座った。
おばさんは多分、少女のおばあさんなのだろうけれど若々しく美しい。
少女はスケッチブックが気になるようで遠慮がちに覗いてくる。
「今、あれを描いているところよ」と指をさすと、
「ああ、あれね!」彼女は納得した顔つきになって
今度は堂々と手元を覗き込んで、景色と紙の上を見比べたりした。
描く手がとまるとしきりに何かを話しだすのだけれど
これっぽっちもわからない。
「ごめんね、わからない」
そういうと、今度は同じことを、ゆっくりゆっくり話してくれる。
おおらかにキラキラと輝く瞳。ホテルのフロントの女の子も同じような眼をしていた。
そうしてまるでお姉ちゃんみたいな大らかな包容力で語りだすのだった。
必死に聞いていたら何かわかるようになるのかもしれないと
やってみるけれど見事になにひとつ!
わからない。
こんなに分からないなんて驚き!