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バサッという音が前方から塊で聞えたのだ。
顔を上げると田んぼにいた群れが宙に浮いたところだった。
実際は浮いたのではなく沼へ向かって飛んだのかもしれないのだけれど、
真正面からこちらへ向かってくるものだから
浮いたようにしか見えなかった。
浮いたかと思うとぐわー
          ー
          ー
          ーっとこちらへ向かって飛んでくる。
           恐ろしい程の数。バッサ、バッサという羽音。
           ヒッチコックの「鳥」という映画があるでしょう。まさにあの感じ。

  ひゃっ、、、ひゃっ、、、ひゃっ、、、きた、、、きた、、、きちゃった!

             こちらへ来てほしいとは思っていたものの、実際となると動転してしまう。
             あわあわしてカメラなんか放り出してぽかーんと見た。
             鳥たちは徐々に高度をあげて隊列を組む。
             あっというまに、空にきれいな模様ができた。
             「わっ、これはまさに千鳥格子!」そうか、千鳥格子って本当にあるんだ!
             「チドリじゃないけどね、マガンだけどね」冷静に指摘しながら、空を見上げる相方さん。

                   かれらはあっという間に頭上を通り過ぎ沼に下りて行った。



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