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「いいでしょう?」
ご主人はこけしと同じように静かにほほ笑んだ。
そして壁にちょいとよりかかった。
「こけしはね、本来は、こんなふうに素朴なもんなんですよ。」
  もうね、時代が変わっちゃったね、、、。
    そう言ったのは、ご主人だったのか、私の心だったのか。



三人で一緒に棚のこけしを眺める。
ご主人がガラス戸をあけて1本のこけしを取り出すと、
向かいの棚においてあるこけしと並べて数歩下がり静かに見つめた。
一緒に私たちも2体のこけしを見つめる。
 静かに時が流れていく。

   「こっちの方がいいでしょう?」
   「そうですね、違いますね」
   「そうでしょう」

     相方さんとご主人が同じようにゆったりと話していた。


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