今日のところはこの辺にして、少し落ち着いて考えたほうがよさそうな気がしました。そこで、彼らの連絡先は探せば分かると思うけれど、個人情報でもあることですから、慎重に進めたい、と答えました。
二人は、それもそうですねと言って頷き
「あなただって驚かれたでしょう」、青年がまた頭を下げました。
「息子さんが以前お父さんを尋ねたときにひどいことを言ってしまったそうで、後悔している。生きているかだけでも知りたがっているのです。よろしくお願いします」
牧師のほうがせっぱつまった様子でしたが、ともあれ、彼らは去ってゆきました。
Sさんご夫婦の連絡先は、難なく出てきましたが、これ以上変に深入りするのもはばかられ、私と同じく第三者である付添い青年に、用件のみメイルすることにしました。
「連絡先は見つかりましたが、Sさん本人と連絡がつくまで待っていただきたいのです」
青年からはすぐに返事が来ました。
件名1:ありがとうございます。
ヨシダさま
>突然のお邪魔だったにも関わらずお話を聞いていただき、大変感謝いたしております。
>なによりも心配なのは、Sさんにとって迷惑な話になることです。
>細心の注意をもって進め、全てが円満に落ち着くといいなと思っております。
>お手数で大変恐縮ではございますが、時間と心の余裕をもって頂けたら幸いです。
>心より感謝いたします。
H拝
文面から、悪い人ではない気がしました。
細かい表現も通じるし、メイルなら、誰かに説明する際も違って伝わることはありません。この人とのほうが、客観的にことが運べそうな気がしました。