若菜晃子さん『旅の彼方』刊行記念 旅の随筆集三部作 特集ページ

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読者のご感想


本に挟んでいる読者ハガキにびっしりと書かれた感想をいつも大切に読んでいます。 読者の方からお送りいただいた『旅の断片』『途上の旅』の感想をご紹介いたします。


『旅の断片』
旅をあつかったコーナーに並んでいて、静かなたたずまいのオーラを放っていました。ホッとするような装丁にも惹かれて手にとると、軽い。びっくりするほど軽い。 「ああ、この本をバッグにいれて、お気に入りの場所で、電車の中で読みたい!」と思いました。
数ページ、パラパラと読んでみると、風のにおいや、ひんやりとした旅の気配や、外国語のざわめきが感じられる、無駄のない文章。
旅先でのさまざまな情景を思い出していました。
ひっそりとしていて、静かで。ひとつひとつ味わうように、そしてゆっくり眠れるように、ベッドの中で読み、幸せなため息とともに本を閉じ、ライトを消す毎日。



出張先で立ち寄った本屋でふと手にとった本でした。装丁も素敵、且つコロナ禍で海外へは簡単に行くことができないなかで、空想旅行がとてもはかどりました。旅先でも彼らにとっても「何でもない日常」が愛おしく、泣きそうなほど大切で、自分の中にもそんな思い出があるなと感じました。
友だちや恋人におすすめしたくて、電話をしながらお気に入りの章を音読すると、私もすっと心が落ち着き、ほっこりする時間を過ごせています。



若菜晃子さんの文章に出会うと、スーッと心のしわがとれ、ぬくもっていく自分を感じる。まるでスチームアイロンをやさしくかけてもらった気分。彼女が見る旅の景色、人々、菓子、土産物……すべて若菜さん独自のものさしで世界が生き生きと表現されている。
「旅の断片」は、まさしく「人生の断片」。



高校で国語の教師と山岳部の顧問をしておりますが、高校生に是非読ませたい。特に山岳部の生徒には、夏山の北アルプスへの山行前や後に、若菜さんのエッセイを読ませたりしています。『旅の断片』の最後の「名もなき駅」の結びの一文にぐっと心をつかまれました。何度も読みたくなる、そんな本です。



旅行本だと、思わぬハプニングが!!などのドキドキするものが多いイメージですが、こちらの本はとても穏やかに、静かに著されていて、ゆっくり時間をかけて読むことができました。作者の方が、きっと丁寧な性格の方なのだろうと思います。
特に一章「旅の夜」の、そこはかとない不安と、美しさを感じられるところが気に入っています。自分もいつか、こんな大人の旅ができるようになれたらいいなと思います。






『途上の旅』
若菜晃子さんの文章が大好きです。
「暮しの手帖」の連載の頃から、心が落ち付く静かな空気や「私もそうそう!」と共感するところがたくさんあって、何度も著書を手にしています。
旅先では高価な土産物ではなく、石ころや貝がらを宝さがしのように拾いたい気持ち、とても良くわかります。
また、本の手ざわりや軽くてナチュラルな色合いの紙など、内容や著者のイメージにぴったりで、お気に入りの本です。



個人的には、石を探す話が好きです。旅をしたときに自分がうまく言葉にできなかった気持ちを若菜さんがうまく言葉にしてくれている気がして、何だか読んでいて心が洗われる思いでした。
若菜さんもこの本に出てくる「アリ」という青年のように、花の一輪も、葉の一枚も、石の一つも「世界にひとつしかないもの」として見て、大事にできる人なのだと思いました。



偶然目にした『旅の断片』が面白く、次に手にした『街と山のあいだ』にも心を動かされたので、今回は読みたいという強い意志をもって『途上の旅』を購入しました。若菜さんの自然への深い愛情と優しさに接すると、私の心まで清らかになるような気がします。観察力がすばらしくて、いろいろな角度からの見方、聞き方にはっとします。



絵画のように、写真のように風景を切り取った文章がほんとうに素敵です。文章がとても読みやすいので、通勤電車の中で読んだりしています。私は海外へ出たことがないのですが、若菜さんの文章を読むと、まるで異国の地に足を踏み入れたような感覚になります。
これからも、きっと何度も何度も読み返すと思います。



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